【新着レポート】診療記録を用いた自然言語処理による患者QOL測定方法の検証
2023/09/05
診療記録を用いた自然言語処理による患者QOL測定方法の検証
https://pv.eucalia.jp/data/861/
本レポートは、2023年6月に開催された第5回日本メディカルAI学会学術集会において弊社が行ったポスターセッション発表を基にしたもの。
2019年より医薬品・医療機器を対象に費用対効果評価制度が導入されたことを受け、治療の費用対効果を検証する有効な手法が求められている。
費用対効果分析に用いる指標としては一般的にQALY(質調整生存年)が用いられているが、全ての患者においてその測定を行うことは工数的に困難である。
そのため、患者のQOLスコアを医療従事者が負荷無く活用できる仕組みを実現するため、診療記録からEQ-5D-5Lの判定を自動で行うアルゴリズムを作成することを試みた。
EQ-5D-5L(EuroQol 5-dimensions 5-levels)は、1.移動の程度 2.身の回りの管理 3.ふだんの生活 4.痛み/不快感 5.不安/ふさぎ込み の5つのドメインに基づく患者報告によるQOL評価指標である。
医療従事者とChatGPTにより作成した355件の教師データを機械学習することで事前学習モデルを作成し、医療従事者による判定との相違を検証した。
その結果、EQ-5D-5Lの項目ごとに抽出精度は異なるものの、一定精度での有効性が示された。
弊社では、電子カルテ内の医師所見や看護記録などのテキストデータ分析に注力しており、今後とも一層の精度向上に向け試行を重ねていくことを予定している。